不動産鑑定評価とは、土地や建物などの不動産について、その適正な経済価値（時価）を専門的かつ客観的に判定する業務を指します。不動産は一つとして同じものがなく、需要・供給、地域性、法規制、権利関係など多様な要因が価値に影響します。これらを体系的に分析し、妥当な評価額を提示することが、不動産鑑定評価の役割です。
不動産鑑定評価は、売買や賃料交渉、担保評価、相続税申告、企業会計、M＆Aなど、幅広い場面で必要とされています。評価額は意思決定の基礎となるため、公正性・中立性・専門性が求められます。
不動産鑑定評価は、「不動産の鑑定評価に関する法律（不動産鑑定評価法）」に基づき実施されます。同法により、不動産の鑑定評価を行うことができるのは、国土交通大臣の登録を受けた不動産鑑定士および不動産鑑定業者に限定されています。また、国土交通省が告示する「不動産鑑定評価基準」に従い、評価手法や判断過程を明確に示すことが義務付けられています。
このように、不動産鑑定評価は法律に裏付けられた公的性の高い評価制度であり、信頼性と透明性の確保が重視されています。