1. 決算書に出てくる“資産評価”の正体
企業の決算書を開くと、「土地」「建物」などの項目がありますよね。
でも、その金額、いつ・どうやって決まったのでしょう?
実はそれ、多くの場合購入当時の価格(取得原価)がそのまま使われているケースがほとんど。
しかし昨今では、こういった見えないギャップが企業の財務健全性や投資判断に影響することが問題視され始めています。
2. 問題:実態とかけ離れた“帳簿上の資産価値”
現実 | 帳簿 |
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土地の価格は30%上昇している | 取得当時の価格のまま |
建物は老朽化して市場価値が半減 | 減価償却だけで管理 |
このように「資産の見かけの価値」と「実際の価値」が乖離していると、企業のリスク評価、投資判断、税務対応に悪影響を与えかねません。
3. 解決策:不動産鑑定評価による“資産の適正評価”
企業会計目的の不動産鑑定評価とは?
会計上の資産管理やディスクロージャー(情報開示)のために、
不動産鑑定士が現在の時価ベースで評価を行う制度です。
主な活用シーン
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時価会計への対応(減損会計、資産の再評価など)
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M&Aや事業承継における資産価値算定
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投資家や銀行に対する説明責任の強化
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監査法人や税務署への説明資料
4. 一般人にも関係する?実は意外と身近な話
たとえばこんなケースも…
✅ 親が会社を経営していて、将来の事業承継を考えている
✅ 会社の土地や建物が「実際いくらなのか」知らない
✅ 不動産が担保に入っているけれど、評価が古いまま
そんなとき、不動産鑑定評価を通して現状の“資産の実力”を可視化することが、将来の判断を支えてくれます。
5. 鑑定評価の進め方(企業会計目的の場合)
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評価の対象物件と目的を明確化
→ 会計資料として用いるのか、投資判断の材料かを決定。 -
不動産鑑定士に依頼・現地調査・資料分析
→ 地価動向・取引事例・収益性などを総合的に評価。 -
鑑定評価書の発行
→ 会計処理や第三者への開示に使える「証拠資料」として活用。
6. ケーススタディ:工場跡地を持つ中小企業の事例
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帳簿上の土地価格:5,000万円(30年前の取得価格)
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鑑定評価による現在の市場価値:1億2,000万円
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評価を受けて、金融機関への与信枠拡大+投資判断の見直しにつながった
📌 ポイント:評価を受けなければ、企業の“隠れた実力”は眠ったまま。
7. 資産を“活かす”ために、まず価値を知ること
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企業にとって不動産は、単なる保有物ではなく「経営資源」
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不動産鑑定評価は、企業価値の可視化と説明責任に役立つツール
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一般の方でも、相続・承継・経営の場面で活用機会があります
✅ まずは一度、企業所有の不動産が“いまいくらなのか”を把握してみませんか?
専門家への相談は、意外と気軽にできる第一歩です。