1. そもそも借地権と底地とは?
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借地権:土地を借りて建物を所有・使用できる権利。
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底地 :借地権が設定された土地そのものの所有権。
両者は法的に独立しており、権利のバラバラ現象が起きることで不動産としての流動性が低下しがちです。
2. 問題:個別売却のジレンマ
借地権のみ売却 | 底地のみ売却 | |
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買い手層 | 自用・投資家 | 大手不動産・投資家 |
価格決定要因 | 使用収益・残存期間 | 地代収入・将来の返還期待 |
典型的な課題 | 住宅ローン付かない/評価低 | 借地人との交渉リスク大 |
結果として 「売りたいのに安くしか売れない」 というジレンマに陥りやすいのが実情です。
3. 解決策:同時売却(セット売却)の考え方
同時売却=借地権者と底地所有者が協力し、両権利を一体化して第三者に譲渡する手法
メリット
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収益一体不動産としての評価アップ
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分離時よりも 10〜30% 程度高く成立する事例が多数。
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買い手の融資が付きやすい
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所有権移転後は通常の住宅ローン・事業ローン対象へ。
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権利関係がシンプル
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将来的なトラブル(契約更新・地代改定)を回避。
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想定されるリスク
リスク | 具体例 | 軽減策 |
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利害調整 | 売却価格配分の相違 | 事前に配分比率ルールを合意 |
税務 | 譲渡所得税・消費税 | 税理士による事前試算 |
契約実務 | 契約形態の複雑化 | ワンパッケージ契約の採用 |
4. 価値を最大化する5ステップ
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情報共有ミーティング
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借地人・地主双方でゴール(売却時期・想定額)を握る。
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共同デューデリジェンス
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境界確定、未登記建物の有無、地代・契約条件を整理。
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専門家チーム編成
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不動産鑑定士・税理士・司法書士で事前評価+スキーム設計。
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マーケティング&入札方式
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法人投資家・デベロッパー向けにセット提案。
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クロージングと税務最適化
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価格配分を確定し、必要なら交換特例や買換特例を活用。
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5. ケーススタディ
老朽アパート×底地(都内):
個別売却試算:借地権1,200万円/底地2,800万円
同時売却実績:所有権化後5,200万円(+約24%UP)
ポイント投資家は建替えを想定し、将来収益を織り込んで評価。
売主双方は価格配分を【3:7】で合意し円満成約。
6. まとめ&アクション
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同時売却は「権利の分裂による価値毀損」を取り戻す打ち手。
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成功には ①早期合意形成 ②専門家選定 ③透明な価格配分 が鍵。
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まずは 無料査定+スキーム相談 を活用し、机上試算を可視化することが最初の一歩です。