問題:毎日通るその道、実は“使わせてもらっているだけ”かも?
住宅を購入した後に気づくことがある、「前面道路が私道で、しかも自分はその持分を持っていない」という事実。
それでも毎日通っているし、これまで問題はなかったから大丈夫…本当にそうでしょうか?
実はこのような状況、法的には非常に不安定な状態。
通行の権利が明文化されていないと、ある日突然、通行を拒否されるリスクもあるのです。
今回は、持分なしの私道でも通行できるのか?
その根拠とリスク回避の方法を専門的視点でわかりやすく解説します。
解決:持分がなくても通れる?3つの法的根拠をチェック
① 通行承諾書がある場合
もっとも確実な通行権の証明方法が「通行承諾書」です。
これは私道の所有者から「あなたがこの道を通ってよい」と明記された書面で、特に第三者から物件を購入する場合には必須ともいえる書類です。
👉 ポイント:
書面があるか必ず確認
有効期限の有無、内容の詳細にも注目
② 通行地役権が設定されている場合
地役権とは、ある土地(要役地)が別の土地(承役地)を使う権利。
不動産登記簿にこの権利が登録されていれば、法的に通行が保証されます。
👉 ポイント:
登記簿で確認できる
法的拘束力が強く、所有者が変わっても効力は継続
③ 通行の黙示的承認・慣習的使用
過去に長期間、特に問題なく使用されていた場合、裁判で黙示的に通行が認められるケースもあります。
ただしこれは非常に不安定な根拠で、所有者との関係性や状況によっては争いになる可能性も。
👉 注意点:
将来のトラブル回避には不十分
所有者変更で状況が一変するリスクあり
解決策:トラブルを避けるための対応策
✔ 通行承諾書を取り交わす
新たに取得できるのであれば、書面での承諾を得ることが最も現実的で安全です。
✔ 地役権の設定を依頼する
法的により強固な権利を持ちたい場合は、司法書士を通じて登記手続きを検討しましょう。
✔ 所有者との良好な関係構築
どうしても法的手段が取れない場合、地域コミュニケーションを重視し、万が一の際の交渉材料に備えましょう。
まとめ:持分がない私道も、対策次第で安心に暮らせる
持分なしの私道であっても、通行を主張するための根拠があればトラブルは回避可能です。
しかし、何も対策をしていなければ、ある日突然“通れない”という深刻な問題に直面することも。
✅ 通行承諾の有無
✅ 地役権の確認
✅ 書面での証明の有無
この3点は、マイホーム購入時の“道路の安全確認リスト”にぜひ加えてください。