不動産鑑定なら|東京都渋谷区|株式会社日本アセットコンサルティング

タワーマンション節税(タワマン節税)について④

鑑定評価書での説明例文

 

「タワーマンションにおける階層差と税評価額の乖離」について、鑑定評価書内で使用できる正式な説明文例を示します。
実際の鑑定評価書では、主に「価格形成要因の分析」や「価格乖離の説明」部分に記載されます。

🧾 鑑定評価書での説明例文

(※一般鑑定評価書・相続評価補助意見書等に使用可能)

【1】価格形成要因の分析(建物の個別的要因)

本物件は○○駅至近の超高層分譲マンション(いわゆるタワーマンション)であり、階層に応じて眺望・採光・通風等の居住快適性に明確な差異が認められる。
一般にタワーマンションにおいては、同一棟内であっても高層階住戸ほど市場における希少性が高く、販売価格・賃料単価ともに上昇する傾向にある。
したがって、階層差は本物件の価格形成において重要な要因の一つであり、高層階ほど価格上昇率が高いという市場実態を反映する必要がある。

【2】市場実勢と課税評価の乖離に関する補足説明

一方、課税上の固定資産税評価額や相続税評価額は、建物全体の再建築費を基礎として各専有部分の床面積に応じて按分されるため、階層差や眺望等の要因が十分に反映されていない。
その結果、同一面積の高層階住戸であっても、実勢価格に比して課税評価額の割合が相対的に低くなる傾向がある。
このような現象は一般に「タワーマンション節税」と称され、実勢価格と課税評価額との乖離を生じさせる要因となっている。

【3】改正後制度への言及(2024年度以降)

なお、総務省は令和6年度(2024年度)から、タワーマンションに係る固定資産税評価について階層補正を導入し、眺望・日照等による価値差を一定程度評価に反映させる運用を開始している。
本改正により高層階住戸の評価額は上昇し、低層階はやや減額される方向で是正が図られているが、依然として実勢価格との差は完全には解消されていない。
よって、本鑑定評価においては、実際の市場取引事例を基礎として階層差を反映した適正な価格を求めている。

【4】評価結論との関係(まとめ表現)

以上の事情を総合的に勘案すると、本物件の価格水準は、行政上の課税評価額よりも実勢価格に基づく水準が相当であると判断される。
特に高層階住戸については市場における評価が顕著に高いため、課税評価額との間に一定の乖離が生じることはやむを得ないものと考えられる。
本鑑定評価は、こうした階層差及び市場動向を適正に反映した価格を示すものである。

📘 使用例

この説明文は、以下のような箇所に適用可能です:

鑑定評価書の区分

記載位置

用途

一般鑑定評価書

「価格形成要因の分析」/「個別的要因」欄

階層差を説明

相続税補助意見書

「課税評価額との比較考察」欄

税評価との乖離説明

不服申立用意見書

「鑑定意見の根拠」欄

実勢との不均衡を指摘