株式会社日本アセットコンサルティング

借家権割合ってどう決まる?― 地域差と評価のしくみをわかりやすく解説 ―

「借家権割合30%って言われたけど、何のこと?」

立退料の話を進めていると、こんな言葉を耳にすることがあります。

「この地域は借家権割合が30%ですから…」

「評価額は更地価格のうち30%が借家権部分になりますね」

…そもそもこの借家権割合って何?

そしてなぜ30%とか40%っていう数字が出てくるの?

そう疑問に思われた方は、この記事を読む価値があります。


💡借家権割合とは?簡単に言えば「借家人の権利の重み」

「借家権割合」とは、借家人がその物件を使用し続ける権利に、どれだけの経済的価値があるかを示す割合のこと。

具体的には、次の式で立退料の一部である借家権価格を算出します。

🧮 借家権価格 = 更地価格 × 借家権割合

たとえば、ある土地の更地価格が5,000万円で、借家権割合が30%の場合、

借家人の保有する権利の評価額(=立退料の一部)は1,500万円となります。


🔍借家権割合の「決まり方」はどうなっている?

借家権割合は法令で決まっているわけではない

意外かもしれませんが、借家権割合は法律で明確に定められている数値ではありません

では、どこから出てくるのか?

答えは次のとおりです:


✅ 不動産鑑定士の「実務慣行」に基づいて決まる

不動産鑑定評価においては、鑑定士が地域の実態・判例・取引事例などを参考にして決定します。

判断材料には以下のようなものがあります:

  • 地域ごとの過去の判例・実績

  • 土地と建物の所有関係や利用実態

  • 賃料水準と相場との差

  • 立地や用途地域(商業地・住宅地など)


🗾地域差が大きい!エリアによって借家権割合はどう違う?

借家権割合は、都市部と地方、商業地と住宅地とで大きく異なります。

地域 想定される借家権割合(目安)
東京都中央区(銀座など) 40~50%程度
東京都郊外・地方都市 20~30%程度
農村部や過疎地 0~10%前後

つまり、同じ「土地の評価額」があっても、借家権割合が異なれば立退料も大きく違ってくるということです。


🧭ポイント:借家権割合を正しく把握するには

  1. 地域の実勢や慣行に詳しい専門家に依頼する

    • 不動産鑑定士や立退き実務に詳しい弁護士がベストです。

  2. 建物の用途や契約内容も加味する

    • 住居か店舗か、契約の種類(普通借家か定期借家か)によっても異なります。

  3. あくまで「一律ではない」ことを理解する

    • インターネットで見た数字を鵜呑みにせず、ケースバイケースで判断しましょう。