交通事故や建物の損壊、公共事業による立退きなど、突然の出来事によって不動産が損害を受けることがあります。
そんなとき、多くの人が悩むのが――
「この損害、いったいどのくらいの金額で補償されるの?」という問題です。
感情的な主張や相場感だけでは、裁判で通用しません。
そこで必要となるのが、不動産鑑定士による「裁判提出用鑑定評価」です。
■ 問題:損害額は「見た目」では決まらない
たとえば、
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隣の工事で建物が傾いた
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公共事業で土地の一部が収用された
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借地が使えなくなり営業に損失が出た
こうしたケースでは、「どの程度の損害か」を客観的に立証する必要があります。
しかし、感情的な訴えや修繕費の見積もりだけでは、法的な補償額の根拠としては不十分です。
裁判所が重視するのは、“専門家による合理的かつ客観的な評価”なのです。
■ 解決策:不動産鑑定士による「客観的な評価書」
不動産鑑定士は、損害が発生する前後の土地・建物の価値を比較し、
「損害額」=損害前の価格 − 損害後の価格
として算出します。
この鑑定評価書は、裁判所に提出する正式な証拠資料として用いられ、
損害賠償請求や和解交渉の際に、強い説得力を持ちます。
■ 鑑定評価の主な活用例
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土地・建物の損壊や減価損に関する損害賠償請求
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公共事業による収用や補償金額の争い
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借地・借家の明渡し・立退料の算定
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不法占有や境界紛争に伴う評価
いずれの場合も、中立・専門的な立場で価値を示す鑑定士の意見が、裁判の判断を支える鍵となります。
■ まとめ
損害賠償をめぐる不動産トラブルでは、「感情」よりも「根拠」が求められます。
その根拠を与えるのが、不動産鑑定士による裁判提出用の鑑定評価です。
公平で客観的な数字によって、双方が納得できる解決を導く――。
それが、法律の世界で「鑑定評価」が果たす重要な役割なのです。