企業が保有する土地や建物の「本当の価値」、あなたはご存じですか?
帳簿上の金額(簿価)と実際の市場価値(時価)は、必ずしも一致していません。
特に近年では、企業の透明性やガバナンスが求められる中で、「不動産の正確な価値を把握すること」が重要な経営課題となっています。
■ 問題:帳簿価格と実勢価格のギャップ
バブル期に取得した土地や建物など、取得時から長年経過している不動産は、帳簿上の価格が当時のまま据え置かれていることが多くあります。
しかし、経済環境や地価の変動により、現在の実勢価格は大きく異なっている可能性があります。
このギャップが放置されると、
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財務諸表が実態を正しく反映していない
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投資家・金融機関からの評価が下がる
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M&A・上場準備時に資産価値の再評価が必要になる
といった問題が生じる恐れがあります。
■ 解決策:専門家による「鑑定評価」で資産を正しく測る
ここで登場するのが、企業会計目的の不動産鑑定評価です。
不動産鑑定士が、国際会計基準(IFRS)や日本の会計基準に基づき、
市場動向・取引事例・収益性などを分析して「公正な時価」を算出します。
鑑定評価を行うことで、企業は次のようなメリットを得られます。
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✅ 資産価値の見える化:実態に即した財務情報を開示できる
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✅ 経営判断の精度向上:保有・売却・再開発の戦略を立てやすくなる
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✅ ガバナンス強化:株主・投資家への信頼性向上につながる
■ どんな場面で必要になる?
企業会計目的の不動産鑑定は、主に以下のようなケースで活用されます。
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決算時の資産評価(減損会計対応など)
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上場準備・M&A・事業再編時の資産査定
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リース取引・資産流動化・担保評価
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IFRS適用による公正価値評価
つまり、企業活動の「節目」には、常に不動産鑑定評価が関わっているのです。
■ まとめ
企業の信頼性を支えるのは、数字の正確さだけではなく、
「その数字の裏にある現実的な価値」をどう把握しているかです。
不動産鑑定評価は、企業の資産を“見せかけの数字”から“真の価値”へ変えるプロセス。
経営の健全性と透明性を守るために、今こそ見直すべき専門手法です。