【問題】「この家賃、高い?安い?」
オフィスや店舗の賃貸契約を結ぶとき、多くの人が「相場感」だけで家賃を判断しがちです。
しかし、商業ビルの賃料は、立地や築年数だけでなく、テナント構成、契約条件、経済動向など多くの要素によって左右されます。
こんなケースは要注意です。
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長年据え置かれてきた賃料が、相場と大きく乖離している
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契約更新時に、突然の大幅値上げを提示された
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空室が目立つのに、賃料がほとんど下がらない
これらを放置すると、借主側は損をし、貸主側は空室リスクを抱えるという不幸な状況が続きます。
【解決】適正な継続賃料を鑑定するとは
不動産鑑定士は専門的手法を用いて、現在の市場に照らした適正賃料(継続賃料)を算出します。
評価には、大きく分けて4つのアプローチがあります。
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① 差額配分法
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考え方:
現在の賃料と市場賃料との差額を、貸主と借主の双方の利益に応じて分け合う。 -
イメージ:
「相場より安く借りている分は借主が得、相場より高く貸している分は貸主が損」という発想で、その差額を一定の割合で調整。 -
特徴:
現状の契約賃料を基準に、急激な変動を避けながら相場に近づける。
② 利回り法
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考え方:
不動産の価値(鑑定評価額)に、適正な利回りを掛けて年間賃料を求める。 -
計算式例:
年間賃料 = 評価額 × 適正利回り -
特徴:
投資不動産的な見方をする手法で、商業ビルや収益物件でよく用いられる。
③ スライド法
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考え方:
契約当初の賃料に物価や地価の変動率を反映させて算定する。 -
例:
物価指数が5%上昇 → 賃料も5%増額 -
特徴:
データがあれば計算がシンプル。相場変動が緩やかな時期に有効。
④ 賃貸事例比較法
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考え方:
近隣や類似物件の実際の賃料と比較し、条件の違い(立地・築年数・設備など)を補正して算定する。 -
特徴:
市場の実勢を直接反映しやすいが、比較できる事例の収集が重要。
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これらを総合して、「貸主にも借主にも合理的な賃料」を導き出します。
【注意点】鑑定は交渉材料にもなる
賃料鑑定の結果は、契約更新や賃料改定交渉の際に客観的な裏付けとなります。
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借主:相場より高ければ減額交渉
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貸主:相場より安ければ増額交渉
いずれも「感情論」ではなく「データ」に基づく交渉が可能です。
【まとめ】
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商業ビルの賃料は、市場状況や契約条件で変動する
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賃料適正価格鑑定は、貸主・借主双方の不利益を防ぐ
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専門家の鑑定を活用すれば、交渉や経営判断がスムーズになる
もし「今の賃料、本当に妥当かな?」と感じたら、それは鑑定を依頼すべきサインです。
数字とデータが、ビジネスの安心と信頼を支えてくれます。